頭の中のさまざまのこと

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フルカワユタカのソロツアーに参加した話

2023年11月25日、フルカワユタカのソロ10周年記念tour『これから出逢う幸福に僕は名前をつけた』横浜公演に参加した。

フルカワユタカはDOPING PANDAというバンドのフロントマンで、私が最近恋に落ちた人です。

参照

 

以来、『DOPING PANDAのライブに行く』と『フルカワユタカのライブに行く』のふたつをバケツリストにぶち込んでいて、前者は早々に叶える幸運に恵まれた経緯がある。今回は後者。一般枠でチケットバトル頑張ってよかった。ありがとう私の行動力。

DOPING PANDAのライブに行った話

 

横浜の天王町にあるスタジオオリーブでのスタジオライブということで、勝手もわからないままとにかくチケットを取った。何か暗黙のルールがあって周りに迷惑をかけたり、ユタカの顔に泥を塗ることになったらどうしようとSNSで「スタジオライブ  服装」などと検索しまくるも何も出てこず、もうどうにでもなれの精神でいくことにした。

 

 

当日。未知のイベントに参加するにあたってテンションをアゲにアゲていくため、前々から気になっていたクソデカい指輪を買った。試着させてもらったときマジでデカくて笑顔になった。ピンクのアイテムを持ちたい気分だったし、私の普段のカジュアルな装いでこの指輪を嵌めたらめちゃくちゃかわいいと思う。たいへん満足した。店員さんに「着けて帰ってもいいですか?このあとライブがあって……テンションアゲたくて……」と言ったら、「もちろんどうぞ!ワクワクが滲み出てますよ!」と言われた。出ちゃってたか。へへ。ニヤニヤしながら退店した。いい買いものだった。最高!

クソデカくて最高なスワロフスキーの指輪

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サイコーアイテムを手にライブ会場へ向かった。でも万が一周りの人にぶつけるとご迷惑なので、指輪はほかの荷物と一緒に最寄り駅のコインロッカーに預けて、スマホ、財布、チケットだけボディバッグに移してそれだけ持って出た。アウターも預けるか迷ったけど、整理番号が呼ばれるまで外で待機することを考えると、体調を崩した状態で推しを含む大人数と長時間同じ空間に滞在することの周りへのリスクは犯せなかった。

 

スタジオオリーブは住宅街の一角にある。実は大学生の頃近くに住んでいて、何度か個人練習で利用したことがある。記憶ではもっと古いアパートだった気がするけど、そうでもない階段にぐるりと並んで待機。体の不自由な人にこれは無理だろう。映画館や芝居小屋もそうだけど、ライブハウスやスタジオも、もっと色んな人にアクセシブルになるといいのに。

上から、整理番号を呼ぶ声が降ってくる。「いま〜す」と返事をしていそいそと駆け上がる。受付で、この日のために崩しておいた小銭でドリンク代を払い、ドリンクチケットを受け取る。そしたら、

「(今日のライブでは使わない)あちらの部屋を開放して荷物置きとコート掛けにしていますので、よろしければお使いください」

と仰っていただいた。控えめに言って神対応。あなたに幸あれ。貴重品をバッグに移してありがたくアウターを預けた。ドリンクカウンターに並ぶ。ボードにドリンクのラインナップが書いてある*1

私は体質的にアルコールがだめで、炭酸も苦手なので、選択肢は実質ひとつになる。

「すみません、ノンアルの……フル……キャワワください」

ちょっと恥ずかしかった。味はとてもおいしかった。

 

ライブが行われるスタジオルームには、サウンドホール*2がハート型になっているアコースティックギターが1本と、マイクスタンドが置かれていて、後ろの壁には、小さな白い電球が等間隔に付いている電飾が何本も、上から垂らされていた。

説明がへた

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客席エリアは、前方に椅子席、後方は立見。私は下手側で立見。防音扉も閉めないほどかなり多くのお客さんを入れていて、ありがたいと同時に、騒音でスタジオに苦情とか入らないといいな……と思った。ちびちびとフルキャワワを飲みながら開演を待っていると、扉のあたりにニッコニコの渡邊忍さん*3がいるのに気づいて慌てて目を逸らした。プライベートで観に来たのかな。ユタカ、愛されている。

スタジオオーナーの一瀬さん*4から開演前の前説*5があり、お客さんはみな頷きながら真剣に聞いていた。そして、満を辞してユタカが呼び込まれた。ユタカは白いラウンドカラーのシャツの上に襟付きシャツを重ね着していて、細い金属フレームの眼鏡がかわいかった。私の真後ろを通って入場した。そんなことある?

前半はDOPING PANDAの曲をたくさんやってくれた。弾き語り向きじゃないと思ってたのにさらっと高クオリティでお出しされて、自分の驕った不見識を恥じた。最高!ギターがうますぎる。てっきりソロ名義の曲で固めてくると思ってたからドーパンを復習していなくて、というかドーパンの曲まだぜんぜん履修できていなくて、Lovers Socaの「Cause I love you!!」の合いの手を入れられなくて後悔。でも、愛してるよ、ユタカ!!あと癒着を公言している友達バンドthe band apartDEKU NO BOYをカバーして、「ビールでも飲もうぜ」のところでびっくりするくらい美しく笑っていた。ほかの曲でもビールの単語が出るところは毎回ちょっと微笑んでいた気がする。今夜はおいしく飲んでほしい。

MCでは、

「(お客さんと)こんな(近い)距離でやったことないから、ずっと虚空を見てる。今日目が合ったと思った人は絶対勘違いだから!」

と言い、実際歌っている間はマジでずっと斜め上を見つめ続けていて爆笑した。お客さんと距離が近いとき「お客さん全員と目を合わせて歌ってあげることができる!」ではなく、「やば……目合わせんとこ……」の方向になるのウケる。シャイか。

でもおしゃべり自体は結構してくれて、再結成前のドーパン時代、態度が悪すぎる暗黒期の只中にいた自分について、「 "あの時お前に抱いていたのは殺意一択だった" と言われた。そんな証言が未だに後を断ちません!!」と話して客席は爆笑だった。私も思わず笑っちゃったけど、逆に考えると、今のユタカにはそれをちゃんと受け止めるだけの心情があって、なおかつ証言(?)をした人たちもそれをわかっているから本人に直接話したわけでしょう、相手がそうやってもう一度出会い直してくれるというのは、ユタカの根本的な人柄に依るところがあるのではないかなと思う。オリーブでずっとライブをやりたかったという話も出て、一瀬さんも「ありがとー!!」と叫んでいてすごくよかった。これからも出会い直しが順調にいくといい。

それから爆笑MCはもうひとつあって、詳細はあまり思い出せないけど、要約すると「ある対バンのリハーサル時、マイクからキツめ(曰く「ハードめ」)の唾液臭がしたため、ライブハウスに備え付けのものだろうと思い、大変恐縮しながらスタッフに交換希望を伝えたところ、自分の持ち込み機材であることが発覚し、大恥をかいた」というもので、これも客席ドッカンドッカンの大爆笑だった。マイクのあのあみあみのところ、普通は定期的に洗うらしいという学びを得た。マネージャーさん、夏ライブのあとは洗ってあげてください。ユタカは「オレはほんとに口臭ないから!オレはラベンダーの香りだから!!」と叫んでさらなる爆笑を呼び、挙句この話の直後に演奏が予定されていたCrazyの冒頭の歌詞「I am sorry me」があまりにもこの状況とマッチしすぎていて逆に歌えないので急遽セットリストを変更すると言い出して、全員の腹筋が崩壊、というカオスが爆誕した。なんとか別の曲をやりきって、前半も終わり、せっかく客席も少し落ち着いていたのに、退場するユタカが口元を押さえながらお客さんたちの間をそそくさと通り抜けていくのでまた笑った。次回以降のイベントはラベンダーの香水をつけて臨んでほしい。

ところで、休憩中に私の前にいたお客さんのスマホのホーム画面が目に入ってしまったんだけど、iPhone標準装備のプライドフラッグのやつで、とても嬉しくなった。私も同じのを使っている。あのお客さんが当事者なのかアライなのかはわからないし、私が知る必要もないのだけど、思わぬ心強さがありがたかった。

 

後半はソロ名義の曲がメインだった。私が思い出せないんだけど何かの曲の歌詞が、ドーパンの曲の演奏を求められることへのアンチテーゼであることを話してくれて、そういうのを散りばめているのでよかったらほかも探してみてくださいと言われた。歌詞を大事にするタイプと、響きとかを重視して歌詞の意味は二の次にするタイプと、作詞家には色々なタイプがいると思うんだけど、少なくとも今のユタカは前者なのかな。考察するのが楽しいタイプのオタクが喜びそうでいいなと思った。あとこれも曲を思い出せないけど、ライトハンド*6をやってくれた瞬間があって、アコギでもできるんだ(やるんだ)!?と驚くと同時に一瞬でワッ!てわくわくして楽しかった。歌詞を横浜だかオリーブだかに変えてくれた歌もあった。ユタカ、お客さんと本当に目を合わせないけど、ときどき笑顔がこぼれて、眼鏡に光が当たってきらきらして、とても楽しそうだった。それでずっと私も楽しかった。

 

アンコールでは渡邊さんが呼び込まれて拍手喝采だった。いそいそと人混みをかき分けて満面の笑みでステージに立って開口一番、「気持ち悪いなあ!」と言い出して、ハ!?と血の気が引いたけど、お客さんみんな笑っていたのでこれが通常運転なんだと気づいた。

「メイニア*7って気持ち悪いよな。ユタカに対する忠誠心が強すぎるっていうか、愛しすぎてるっていうか。支えようとしすぎる。しかも、ユタカの周りのアーティストたちも応援しだすじゃん。オレ(が所属してるバンドASPARAGUS)のライブにも来てるらしいのよ。なんか……ありがとね?」

とあっけらかんと話して笑いをとっていて、愛あるイジリをするタイプか……苦手だ……と思いつつ、笑顔はかわいかった。というか、本当は正式にゲスト出演を打診されていたけどASPARAGUSのスケジュールがきつくて断ったらしいのに、前半1曲目から観に来ていて大丈夫なのだろうか。まあいいか。

ユタカと渡邊さんのセッションが始まった。周りはみんなわかっている雰囲気だったので焦った。なんにも知らないんですけど!?ユタカのアコギを抱えた渡邊さんがニコニコしながらユタカに絡みまくっていた。

渡邊さん「ユタカはさあ!」

ユタカ「はい!」

渡邊さん「世界でいちばん!」

ユタカ「はい!」

渡邊さん「アツい男だよな!」

ユタカ「アツいです!」

そして始まる1曲あたり正味30秒未満のコラボ曲たち。3曲もあるんかい。もう次のソロアルバムのボーナストラックに入れたらどうですか。そして「ユ・タ・カ!」の合いの手はみんなでやることができた。

当日の様子

「世界でいちばん大好きなアニキ」なんて歌われたら一生守っちゃうでしょうが。渡邊さんユタカを幸せにしてあげてください(the band apartの荒井くんと同じ気持ち)。まあこういうところがキモいと言われてしまうのだろうが、ユタカほど「愛しはじめる」以外の選択肢がない男もなかなか珍しいと思う。せめてこのことに自覚的な、節度を守ったファンでいよう。

盛り上がりに盛り上がった渡邊さんのターンが過ぎて、このままではもちろん終われないので、2曲くらいユタカがひとりでやってくれた。確かこの幸福に僕は名前をつけたYesterday Today Tomorrow。どちらもとても好きな歌だから嬉しかった!

かたちの無いものに名前をつけることにはたとえば、その名前に全て押し込められてしまって本人も知らぬ間に変容する場合があるとかの良くない面がもちろんあって、一方で輪郭を与えることができたり、そこが居場所になったり、名前があるからこそ、それを除いたときに残るものを確認できるなど良い面もあると思う。ユタカはこの曲では名付けることを選んだなと思った。どちらがいいとか悪いとかではなく、ひとつを選んで(= "それ以外を選ばない"ことを選ぶ)それを引き受けるにはパワーが必要なので、それだけのものがユタカにあることが眩しい。勇気があるな〜と思う。このままなくさないでほしい。

Yesterday〜ではユタカにお願いされてみんなで「wow wow wow wow wow」部分を担当した。これは私も歌えた!嬉しかった。明るい歌で打ち出されるのが今夜らしいなと思った。ユタカも最後まで楽しんでくれたと思う。私もずっと楽しかった。

 

終演後はスタジオをバータイムにしてくれて、ゆっくりしていてもよかったのだけど、おなかがすいたので帰ることにした。ピック*8セットをひとつ買った。確か世の中にはピックをチャームにできるアイテムがあったはずだから、探してみるのもいいかもしれない。2枚セットだから、ひとつは使おうかな?ユタカみたいに弾けたら楽しいだろうな。誰かのライブに行くたびに毎回同じことを思い、そして碌に練習しない日々をなんとかしたい今日この頃。それはともかく、スタジオオリーブさん、素敵な夜をありがとうございました!

足元の機材。たぶんチューナーと、エフェクター*9ひとつ!

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おまけ

終演後に撮ったセットリストを基に作成。ただし、前述の通り、爆笑MCの影響で急遽セットリストを変えているので、この通りの順番では実際は演奏されていない。曲順覚えている人いたら教えてください!

どうやってアコギ1本でやるんだ、っていう曲がたくさんあるでしょう、もう思い出せないけどとっても素敵だったんだよ!またやってほしいし、また行きたいな。

 

 

 

 

 

 

 

*1:これはあくまでもスペシャルドリンクのラインナップであり、これ以外にもアルコール飲料やソフトドリンクも用意されていた

*2:アコースティックギターのボディに開けられた穴。円形になっているものが多い。アコースティックギターは内部が空洞になっており、そこで響いて増幅された音がサウンドホールが出てくることで、スピーカーを使わなくてもそこそこ大きい音量になる

*3:ASPARAGUSというバンドのギターボーカル。ユタカと一緒に、LOW IQ 01くんのバンドスタイル「LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS +」に参加している

*4:ELLEGARDENの細美くんが兼任しているバンドMONOEYESと、渡邊さんがいるASPARAGUSのドラマー。まったく知らなかった……

*5:注意事項などの説明。休憩を挟んで前後半の二部制であること、休憩中に追加でドリンクを購入する場合は、カウンターで直接支払ではなく受付でドリンクチケットを買ってほしいこと、お手洗いは男女共用であることなどがアナウンスされた

*6:ライトハンド奏法。ギターの弾き方のひとつ。タッピングとも言う。指で弦を叩いたり離したりして高速で音を出して演奏する

*7:DOPING PANDAのファンのこと。ドーパメイニアとも言う

*8:ギターやベースを弾くときに使うアイテム。小さな三角形をしたプラスチック製の板?で、利き手の親指と人差し指で挟んで持ち、弦をジャーンってやって演奏する。形や材質は色々ある。今回買ったものはティアドロップ型だった

*9:ギターやベースの音色を変えることができるアタッチメントのひとつ。音を歪ませたり、エコーをかけたり、色んな種類がある。足でスイッチを踏んで使う