靴をあまり持っていない。
マーチンの2ホールと8ホール、冠婚葬祭用パンプスの白と黒、SOU・SOUの地下足袋、レインシューズ、仕事用のローファー、ジム用の安いやつ、そしてスニーカー。以上。
何足で暮らそうみたいなポリシーがあるわけではないけれど、靴を欲しい気持ちになることがあまりない。なので挙げた靴全員がスタメン。と言えば聞こえはいいが、「汚れても構わない(汚れてしまう前提の用事の時に履きたい)、どうでもいい靴」が一足もないのも、なかなか不便に思うときもある。
ヒールのある靴が苦手で、スニーカーをいちばんよく履くので、傷むのが早い。同居している家族もそれぞれスニーカーを持っているので、なんとなく被らないブランドのものを探したかった。それで2年前調べに調べて見つけたのが、「VEJA」だった。
フランスのブランドで、広告を打たずに原料生産者に報酬として還元したり、契約書を公開して透明性を確保していたり、色々すてきなブランドだったので買った。スニーカーはその1足しか持たなかったから、とてもよく履いた。で、2年でソールに穴が開いてしまった。
というわけで今回もVEJAでスニーカーを新調しに出かけた。本国ならリペアサービスに出せるんだけど、日本ではたぶん受付していない。お店に入ったら、2年前よりもはるかに多い数のそれがずらりと並んでいて、私がVEJAを履いていることに気づいて話しかけてくれた店員のお兄さんが、人気が出て取扱が増えたんですよと教えてくれた。好みを伝えるといくつかのモデルを紹介してくれて、試させてもらった。履いて店内をうろうろすると、今日のルックにすごくお似合いですよと褒めてくれた。買った。ちょろい。
開封の儀
じゃーん!人生初のオールホワイト。2年前に買ったモデルも白だったけど、ロゴのところだけ黒だった。それでさえその時点で人生初の白系スニーカーで大冒険だったのに、私も成長したものだなあ。この歳になっても冒険のお買いものができるというのはよいことです。きっとこれからも冒険ができるんだろうな。
ところで、靴といえば思い出すものがある。
伊勢をめざす旅に出た少年ワタル。奈良の山中で道に迷ったワタルは、不思議な生き物を見ます。
導かれるままに辿りついた曽爾村で、ハルという腕白な子どもに出会います。2人は、村祭りで一緒に獅子舞を見たり、
雨の中、秘密の洞窟を探検したり、ワタルは迷子になっていたことも忘れ、ハルと村中を巡ります。
彼らを傍で静かに見つめているのは、成長して曽爾村を再び訪れたワタルです。
成長した彼もまた人生の岐路に立っていました・・・。
劇団維新派の「トワイライト」。2年前に配信で観た。人と邂逅と記憶の話だった。
無料配信中の劇団維新派「トワイライト」、きのう深夜までかかって観ました。劇団も演目も初見。世界にはまだまだ私の知らない美しさがあるんですね。思い知らせてくれてありがとうhttps://t.co/U7xGGRLPdT
— ギズモ参謀 (@sanbou_1028) 2021年12月26日
まだ見えている山に向かっておーいって叫ぶ冒頭と、すっかり陽が落ちて、舞台照明がなければ一寸先も闇という中でY字路の向こうのお互いをそっと呼び合うおーいの対比が美しい。野外公演ならではの計算だよね
— ギズモ参謀 (@sanbou_1028) 2021年12月26日
そこはどこですか?って世界中の人たちに聞いて回るところが大好き。YouTubeの画面を消した今この瞬間も、世界中で色んな人たちが路地にいたり海にいたりしてるんだろうな。口にすると当たり前すぎてもどかしいけど…。最後の靴の演出もいい。靴が覚えている。靴大事だね
— ギズモ参謀 (@sanbou_1028) 2021年12月26日
維新派トワイライトで検索すると、当時出演してました!とか山奥まで観に行ったのはいい思い出だなあと述べている人が大勢いて、そうだこれは現実に行なわれた現実にあったことで、目撃してされて初めて成立する儚い美しいものなんだということがわかる
— ギズモ参謀 (@sanbou_1028) 2021年12月26日
こんなの、いい思い出だよなあ。ずっと大事にしてほしいな
— ギズモ参謀 (@sanbou_1028) 2021年12月26日
「靴が覚えている」「靴、大事や」というせりふがある。履き古したワタルの靴。登場人物の誰に言うでもない、風のようなせりふ。終演後、もうすっかり暗くなった山中の帰り道が照らされて、そこに夥しい数の靴がまるで道標のように並べられていた演出を、ガラスの向こうから眺めたのをよく覚えている。私のスニーカーも色々なところに連れていってくれた。グループ展もしたし、映画館にもたくさん行った。ありがとう靴。また色んなところに行こうね。
ビフォー
アフター
おまけ
私の最推し・福山雅治はVEJAとMARNIのコラボモデルをお召しです。さすが、さらっとAIDS患者支援のTシャツ*1を何も言わずに着る男は違いますね。
福山雅治は、若い頃ルーマニアにあるAIDS患者さんたちの支援施設を訪れて以来(今でも交流があります!)、長年、自分のラジオのゲストにコンドーム博士的な方を毎年呼んで質問を受付してセーフティセックスの啓蒙活動をしたり、全てのCDのスペシャルサンクスに「Friends of Rumania」と入れたりしています。
*1: ましゃが着ているTシャツはフランスのAIDSと闘うオーガニゼーションを支援しています。Tシャツには「 AIDS と闘うためには、このTシャツを着ることよりもっとさまざまな活動が必要ですが、これはいいスタートです。😊#BROS1991 https://t.co/0WYnjvrha5 pic.twitter.com/pFzw9v6K0G